マツリカと、スタートアップが答えるべき「3つのWhy」

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この記事は祭り化 Advent Calendar 2019の9日目の記事です。

昨日、8日目はマツリカのPR/ハイパーインナーコミュニケーター、さきてぃす(@ohayochopooh)による記事でした。

note.com

これまでの経験から何を感じ取り、さきてぃすとは何をしていきたい人なのか を伝えてくれました。

さて、初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。
まぁほとんどの方とは初めましてだと思うけど。
8月から株式会社マツリカでサーバーサイドエンジニアとして働いているのりへいです。 コンゴトモヨロシク。

最近、社内でスタートアップの経営の難しさについて話す機会があり、その時にスタートアップは投資家へのピッチ(プレゼン)の際に「3つのWhy」に答えられる必要がある ということをみんなで話しました。

「3つのWhy」とは何か?、マツリカは実際どうなのか?ということや、この考え方は自分が関わる企業を見極める際にも有効な目線ではないか? と考えたことを伝えたいと思い、Advent Calendarのテーマにすることにしました。

というわけで、「事業を見極める目線での3つのWhy」に加えて、「転職先を見極める目線に言い換えた3つのWhy」についてぼくが考えたことや感じたことを書いていきたいと思います。

この記事でわかること

  • スタートアップとはどのような特徴を持った企業か
  • 3つのWhyとはなにか
  • 3つのWhyと照らし合わせてマツリカの事業はどうなのか
  • 採用応募者からマツリカがどう見えたのか

マツリカについて

株式会社マツリカは「世界を祭り化」するをミッションとし、SFA(セールスフォースオートメーション)/CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールのSensesとAIメールアシスタントのNotiaを開発しています。

mazrica.com

そして祭り化とは「人が夢中になりエネルギーに満ち溢れた状態」としています。

そもそもスタートアップって?

『逆説のスタートアップ思考』で著者の馬田隆明氏はスタートアップについて以下のように説明しています*1

スタートアップは短期間で急成長を目指す一時的な組織体のことです。 新興企業であっても、短期間での急成長を目指さないのであれば、それはスタートアップではありません。 着実な成長を目指すものはスモールビジネスと呼ばれます(図1)。

よく「ベンチャー企業と何が違うの?」って聞かれますが、ベンチャー企業とは比較的新しい企業を指す言葉であり、スタートアップとはそもそも尺度の違う言葉だというのが個人的な解釈です。

そして重要なのはこの「短期間」という部分。
この「短期間」を目指すが故に、驚くほどに目まぐるしく状況が変化し続け、その中で自分が何をできるのか?を日々問われ続けていきます。

3つのWhy

スタートアップは多くの場合が新興企業であり、まずお金がありません。
そこで投資家から資金援助を受ける必要があるのですが、そのためには投資価値があると判断をしてもらわなければなりません。
そこで投資家に有望な事業だと思ってもらうために「3つのWhy?」に答えられる必要があるというわけです。

逆説のスタートアップ思考から再び引用します。

初期のスタートアップが投資家へプレゼンテーション、つまりピッチする際には「WhyThis?」「WhyYou?」、そして「WhyNow?」という問いに答えられるようにしておくべき、と言われます。

それぞれについてもう少し説明をしつつ、実際のところどうなのか?に加え、自分が採用を受けていた過程で、マツリカは転職先としてどのように見えたのか?

ということを書いていきます。

Why This?

なぜこの事業をやるのか?

これは「なぜこの事業・サービスをするのか?」という質問です。
スタートアップとしてのアイデアの質が問われる部分ですね。

マツリカのメイン事業であるSensesについて見ていきます。

前述の通りマツリカは世界を祭り化すること、つまり「人がエネルギーに満ち溢れた状態」を創り出したいと考えています。
そして、本来やりたいこと、本来やりたい業務に集中できない非効率な状態は、ワクワクしている、祭り化しているからは遠い状態です。

業務が非効率となってしまう要因の一つとして「属人化」が挙げられます。情報の不均衡や業務の質の不揃い、管理コストの増大などを招くためです。
そして営業はこの「属人化」を特に招きやすい職種だと言われています。

各担当者だけが顧客の詳細な情報を知っており、担当者が変わるとうまくいかなくなってしまうというような話はどこかで耳にされたこともあるのではないでしょうか?

多くの企業がすでにこの属人化による問題に取り組んでおり、SFA/CRMの導入によって解決を図ってきました。

ではなぜマツリカがSFA/CRMを作るのか?

以下はSFAを導入している企業の利用状況についての調査結果です。

SFA導入満足度調査

図の通り、実に半数近くの企業SFA/CRMを導入しても課題を解決できていない満足していないという状態です。 そしてこれは既存のSFA/CRMが抱える、「現場の入力負担の大きさ」と「現場へのメリット欠如」という欠点が原因だとぼくたちは考えています。

このため、Sensesは現場の入力負荷を減らすための直感的なUIと、入力することで行動のサジェストや分析などのメリットを提供するという点にこだわって開発されています。
以上がマツリカがSensesというサービスを提供する理由です。

まとめると、

  • 祭り化のためには属人化が障害となる
  • 営業は特に属人化しやすい職種
  • 既存のツールでは営業パーソンの祭り化にはつながりにくい
  • その原因は、既存のツールにおける現場目線の欠如
  • 現場目線へのこだわりがSensesの武器

ということです。

なぜこの事業に関わりたいのか?

このWhy This?を採用応募者として言い換えるなら「なぜこの事業・会社に関わりたいのか?」でしょうか。

これについては、「ミッションと、それを実現するための手段であるSensesに共感した」からです。

ぼく自身、プログラマになる前は人材業界で新規営業をやっていたこともあり、営業をやっている友人もいるので分かるんですが、営業って顧客への提案のために使える時間が本当に少ない。どうやってその状態を脱却するのかも個人のスキルに依存してます。

顧客管理がExcelでしか行われてなくて、それが社内の共有サーバーにあるから帰社してからじゃないと提案の資料が作れない

とか、

SFA入れてみたけど使いづらい。でも数値は入れろって言われるから月末に帳尻合わせでとりあえず結果を入れてるだけで、日々の進捗管理や行動分析、育成にはつながっていない

とか 、
ぼくも実際に体験しましたし、友人からも聞く話でした。

ぼくは仕事を通じて人の生産性を高めたいし、そのためにいいチームを作るための仕組みを作りたいと思っています。

でも属人化ってチーム作りを阻害するんですよ。それぞれの状況を見えなくして、分断を作ってしまう。
しかもそれが非効率を招き、ますます目の前の仕事に忙殺されていきます。

そんな状態で死んだ顔して仕事するっていう状況を、自分たちの次の世代に誇れるのか?そんな状況を受け継がせたいのか?と考えたとき、ぼくは絶対に嫌でした。
いつだって先の世代の選択のツケを払うのは後の世代なんですよ。

だからこそ、「人がエネルギーに満ちた状態を創る」という未来を一緒に創っていきたいし、そのために属人化をできるだけ減らしたいと考えたのが、ぼくがマツリカに関わりたいと考えた理由です。
営業ならだいたいの企業にはまずある部署なのでインパクトも大きいと思いましたし。

Why Now?

なぜ今、この事業をやるのか?

これは「なぜ今、このタイミングでこの事業をやるのか?」という質問です。
事業の成功はアイデアの質の良し悪しだけでなく、タイミングや市場環境にも大きく左右されます。
それこそスマホが登場する前にUberのアイデア出しても突っぱねられたんじゃないでしょうか*2

SFAを取り巻く市場環境として以下のような調査結果が出ています。

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SFA市場環境推移および予測

SFAの市場規模は増大傾向にあり、今後も市場の伸びが予測されます。また、パッケージ利用は微減、SaaS利用は拡大する見込みです。
昨今の働き方改革の後押しもあり、ビジネス環境としてSFAは今非常にアツい時期を迎えています。

「Why This?」で提示したような問題意識が世間的に受け入れられやすい環境が整ってきているとも言えるのではないでしょうか。

なぜ今、この会社を選ぶのか?

このWhy Now?については応募者目線でも割とそのまま、「なぜ今、この会社を選ぶのか?」となります。

ぼくが面接を受けたのが4月末だったんですが、そのときぼくは「この会社はこれからますます、それもすごい勢いで面白くなる」と感じました。
今のところこの感覚は日々確信に変わっています。

マツリカの社員数は2019年1月時点では26名、12月現在で63名まで拡大しています。
面接を受けた4月当時も確か40名弱ぐらいにすでに拡大予定で、これからも積極的に拡大すると言われた記憶があります。

それだけの勢いで人が増えるということは、未整備の状態から組織として成立していく過程に自分が携わることができる上に、最初期の混乱状態は抜け出し、各々が専門領域で能力を発揮できる時期、つまりチーム作りの成否が問われる時期だと考えました。

強いチームをテーマとしているぼくにとってこれ以上に面白いフェーズはないと思いました。
チーム作りに興味があると面接で言った時にCEOからぜひやってほしいと力強く言われたのも大きかったです。

資金調達も果たし、会社がますます面白くなっていくという明るい未来と、「自分たちこそが祭り化して会社をもっと面白くするんだ」という勢いを感じられています。

余談として、先日経営合宿がありボードメンバーや各部門のリーダーが丸々いないことがあったんですが、みんな普段通り仕事してました。「そういえばいないね」ぐらいの感じ。
権限委譲があってそれぞれが自分の果たすべき責任を理解して実行しているからこそだよなと思ってます。

Why You?

なぜあなたたちがやるのか?

これは「なぜあなたたちならば成功させられるのか?」という、経営者に対する質問です。
イデアも良さそう、タイミングも絶好、となったときに果たしてそのチャンスをモノにできるのか?ということです。

マツリカ共同代表の黒佐と飯作の経歴に触れていきたいと思います。

黒佐は、大手企業での企画営業やマネージャーの経験を積んだのち、BtoBのSaaS企業において営業開発チームの立ち上げを担当。
さらに営業部門、マーケティング部門及び顧客サポート部門の統括責任者を歴任。販売促進・保守、営業・マーケティング戦略の立案及び執行の担当を経験しています。

つまり、営業の現場をよく知り、尚且つBtoBのサービスをグロースさせた経験も持っています

飯作は、ITコンサルティング企業に勤め、企業へのコンサルティングや、自社の営業チャネル・販路拡大を目的とした新規事業を立ち上げを担当。
その後は黒佐と同じ企業で技術統括執行役員としてプロダクト運営、製品開発に従事しています。

つまり、企業におけるITの活用についてや、新規事業の立ち上げ、プロダクト運営について豊富な知見があります

また、上述したとおりこの二人は同じ会社で働いたこともあり、それぞれの強みを活かし合う方法についてもよく知っています。

これらの理由から、マツリカの共同代表2人は、営業を現場目線で支援するSaaSツールの立ち上げおよび運営、グロースに十分に強みを発揮できるといえると思います。

なぜこの人たちと働くのか?

このWhy You?は、少し変わってしまいますが、応募者にとってはWhy Them?、つまり「なぜこの人たちと働くのか?」だと考えています。

「なぜ私がこの人たちに加わるのか?」、つまり自分が加わることでどう貢献できるのか?という考え方もできると思いますが、なによりもまずはこの人たちと一緒に働きたい!って自分自身が思えるかどうかの方が大事じゃないですか?*3

これについては、飯作(CEO)とCTOに面接をしてもらい、「誠実で真摯、スピード感があって、かつ明確にフィードバックをくれる人たちで、この人たちとならサービスにまっすぐ向き合えるし、自分もきっと成長できる」と感じたことが理由です。

面接時のエピソード

ぼくがマツリカ受けたきっかけってスカウトもらったからだったんですが、面接一発目で飯作が担当してくれて、挨拶直後ぐらいに「なんでスカウトしてもらえたんですか?」って聞いたんです。
もしかしたらしょっぱなでこれは失礼かなー?と思いつつ気になったんで。

そしたらスラスラ〜とぼくのどこを評価してもらったのか、どういう役割を担ってほしいと期待しているからそういう評価なのか、深掘りしたいと思っているのはどこかを話してくれたんですよね。

「あ、面接一発目でCEO出てきてこれだけスラスラ答えられるってすごいな」って思いました。
当然のことかもしれないんですけど、人材営業やってた感覚だと多分これをできる企業って正直あんまり多くないんですよ。

そのあとも対話をしてくれるというか、対等な立場として、自分たちのやっていきたいことや現状の課題を話してくれつつ、ぼくが話すときちんと最後まで聞いてくれる。
見極めてやろうじゃなくてお互いの理解を深めようって面接をしてもらえたのが単純に嬉しかった。

1時間ぐらい話したタイミングで「まだ時間もらえるかな?CTOにも会ってほしい」って言ってもらってそのままCTO面接になりました。
CTOも理路整然と、かつ質問にも的確に答えてくれて、抱えてる課題についてもビジネス視点からそれは優先度としてどうか、技術的にはどうかを話してくれました。

そのままエンジニア用の課題もらって、回答を送って後日再度面談になりました。
その時はどういう点が良かったかを伝えてもらったり、課題の難易度はどうだったか、どこで詰まったかを聞いてもらったりして、そこで生じた疑問とかについても都度答えてもらいました。

感じたこと

この経験通して、「この人たちは自分たちのサービスや組織に対しても、人に対しても誠実かつ真摯に向き合ってるし、意思決定も迅速。ポジティブフィードバックもアドバイスもくれる。」って思ったんでその時点で入社を決めました。

余談1

入社した今改めて感じてるのは、「マツリカの人たちって基本的にポジティブフィードバックするし、挑戦する人がいれば応援するし、壁を作らない人が多いなぁ」 です。
Advent Calendarやろうぜ!って言ってエンジニア以外がこれだけ乗ってきてカレンダー全部埋まるとかそうそうないですよ。

この辺の、マツリカの人たちの越境性、活動性について元々記事にするつもりだったんですが、この記事のテーマの方が外部により伝えたかったんでこっちをAdvent Calendarのテーマにしました。
祭り化と越境っていうテーマで後日改めて書きたいと思います。

余談2

入社前に会えるの一部の人だけやんけ!」って思われるかもしれませんが、他の人にも会いたい!って言えば多分普通に他のメンバーにも会えるように調整してくれます。
あと毎月末の金曜はオフィスでマツリカデーっていうイベントやってるんで、そこ来てもらったらみんなの雰囲気がより掴めるかもしれません。

まとめ

事業や会社を見る上でのいくつかの視点と、それがマツリカの場合、そしてマツリカへ入社を決めたぼくの場合にはどうだったのかということを書いてきました。

ここまで書いてきたように、ぼくは今このタイミングでマツリカに入ったこと、マツリカの人たちと働けていることを心から楽しんでいます。
マツリカという会社を知ってもらいたいし、応援してもらえるようなチームでいたいです。

もし興味を持っていただけたならマツリカタイムズというマツリカの自社メディアやWantedlyの投稿を読んでください!
マツリカの中の人のことを知りたい!」と思っていただけるのであればカジュアル面談についても大歓迎です。

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就職活動や転職活動をされる際に、ここに挙げたような視点が誰かの役に立つのであれば嬉しいです。
そしてこの記事をきっかけにマツリカに興味を持っていただけるならぼくとしては望外の喜びです。

その際にはぜひ、3つの視点からマツリカを見据えてください。あなたの疑問にきっと答えられる会社だと思います。

これにて9日目の記事を終わります。
明日は野球をこよなく愛するiOSエンジニアのNaoさん!

*1:逆説のスタートアップ思考 中公新書ラクレ 馬田隆明(2017)

*2:iPhone3Gの発売は2008年、Uberの創業は2009年

*3:自分が何ができるのかを考えなくてもいいという意味ではないです